2014年3月23日日曜日

BMWとの再会 Part2 - BMW 116i

2. 116iとの対面

初のBMWドライブは3月19日に決定しました。

「まだ運転免許を取得して半年しか経たないのに、こんなに早くBMWに乗ってしまっていいのだろうか」と、BMWに乗れることへの喜びと迷いが交錯しつつも、ついに当日を迎えます。BMWが停めてある駐車場へは、電車で30分。緊張のあまり、Googleマップを見ながらも駅から駐車場への道を間違えていることに気がつかず、直前になって利用開始時刻を遅らせることに。こんなことは初めてです。

予定を10分遅れて到着した駐車場を見渡すと、BMWの姿がありません。ただそれは自動販売機の裏に隠れていただけでしたが、焦り過ぎていることに気がつき、一抹の不安を覚えます。

ありました、白い116iです。至近距離で1シリーズを眺めるのは初めてです。その場でずっと眺めていたいほどでした。E87型は近年のBMWの中でもかなり好きなデザインですから。ただ、あまり周囲をぐるぐる回っていても通行人から不審な人物に見られかねないので、思い切って鍵を開け、乗り込みます。



車内は今まで何度も写真で見ていましたから、見慣れた景色ではあります。ドアを閉めると、アクアとは比較にならないほど分厚いドアが「ドン」と頼もしく低い音を立てて閉まります。キーを取り出し、スロットに入れ、ブレーキを踏みながらスタートボタンを押します。基本的なBMWの操作方法なら知らないことはまずありません。BMWは始動時にシートベルトを着用していないとアラームがなりますが、この音がまたポロロン…と綺麗な音。わざとシートベルトは始動してからにします。E36の時のポーン...という音も好きでしたが、ここまで音色が綺麗になりますと、まさに進化を感じさせてくれます。

カーシェアリングのマイナスポイント、それは内外装とも薄汚れているところでしょう。このBMWも例外ではなく、ボディは白く内装は黒、可哀想なことに汚れが目立ちます。出発前に、少しだけ掃除を。



アイドリング時のエンジン音は、車外で聴くと「カラカラ」と残念ながら高級感は皆無です。バルブトロニックのエンジンになってからでしょうか、E36の時のような重厚感のある音は消えてしまいました。環境性能のための変化とは言え、ここには寂しさを感じざるを得ません。しかし車内にいれば、耳を澄まして聞こうとしない限りとても静かになっています。E36の時のように、アイドリング時にもエンジンが存在を主張することは良くも悪くも、もうありません。
ここで、ある衝撃を受けます。オドメーターが示していたのは、13万kmという数字。これには驚きました。まだ新車から3〜4年しか経ってないはずの後期型で10万kmオーバーなど、見たことがありません。日本車では廃車にされているでしょう。



気を取り直し、出発します。電動パワーステアリングだからでしょうか、E36よりも淡々と、少し軽めにステアリングは回ります。それでも、重い!先日のMINIよりさらに重く、停止した状態では回す気があまりしません。そもそも停止時に回すのは良くないそうなのでこれで正解なのですが、ここまで重みを残すと「軽くしてくれ」という声が出るのもわかる気はします。私としてはE36程度まで重いのを望みますが。

発進加速は十分以上です。116iはBMWの中で最もパワーの少ないモデルですが、今回乗った限りで不足や不満は一切感じませんでした。ただ一つ残念だったのは、近年のBMWにはドライバーのアクセルワークなどを記憶し、車両によってシフトパターンなどの性格が少し変化するようになっているそうですが、過去に利用した人々が容赦無くアクセルを踏んでいたのでしょう、状況によっては少し踏んだだけで意図せず勢い良く加速するようになってしまっていました。ディーラーに行くとこのパターンはリセットしてくれるそうですが、さすがにそうするわけにはいかないので慣れるよう努力した結果、箱根に着く頃にはうまくコントロール出来るようになりました。あくまで発進加速は緩やかですので、少し踏んだだけでピョンと飛び出すような日本車の制御とは全く違うものです。

停止時には気になったエンジン音も、走り出してしまえば、それはなかなか重厚感のあるものに変わります。日本車にはない、こ安心感のあるこの重い音。1.6Lの4気筒ですから、6気筒のような官能的な音はありませんが、紛れもない欧州車のエンジン音です。116iでも微かにE36時代のエンジン音を思い出し、そこで手元のBMWのエンブレムを見ますと、「BMWを運転しているんだ!」と感動しては、何度でも目が潤ってきます。幸せなひと時。MINIの1.4Lよりもさらに一段と滑らかに回り、6速ATの滑らかな変速も相まって、一般道でも本当に気持ち良く走ってくれます。アウトバーンの国の車ですから高速域でなければ…と思っていましたが、交差点を曲がるだけでも良いのです。ステアリングを両手でグッと回した途端、その良さを感じることができるのです。

「13万kmも走っているのにへたっているところもないし、しっかりしているな」と思いながら走っていると、残念ながら一つ、過走行を意識せざるを得ない状況になりました。「カリカリッカラ…」と、何やらエンジンから異音がするではありませんか。様子を見ていますと、稀に20km/h程度まで減速した後の加速時に発生します。恐らくは、エンジンがノッキングしている証拠ではないでしょうか。これはBMWが悪いのではなく、過酷な走行によって劣化したスパークプラグをカーシェアリング側が交換していないためです。少し心配になりましたが、戻るわけにもいかずそのまま走り続けていたところ、異音は聞こえなくなりました。ただエンジンには良くないことは明らかであり、万が一エンジンが故障してしまえば最悪の事態です。事故にも繋がりかねません。BMWへの期待とは裏腹に、メンテナンス側の怠慢に起因するトラブルに、しばらく運転に集中できずにいたのが悔しくてなりません。

環八に出て、東京ICからいよいよ東名高速へ入ります。シフトレバーを左に倒してスポーツモードにし、徐々にアクセルを踏み込んで一気に加速します。するとエンジンは「ウオォーン」と軽く高回転までスムーズに回ります。これだ!!さすがBMWのエンジン!!13万km走っていても全く衰えを見せません。きっちりメンテナンスしていれば、20万kmや30万kmまで走るのが普通ということはまさにその通りのようです。また、大抵の車は走行中に何処かからカタカタと内装がずれて当たる音がしますが、このBMWはもちろんそのようなこともなく、車内は至って静か。唯一聞こえるのは、アイドリング時とは全く異なる、重厚感のある滑らかなエンジン音だけ。エンジン音だけでも心地よい上、思わず運転に集中してしまい、「運転に集中したい」と思うことから、iPhoneに用意してきた音楽はほとんど聞かず、環八に入る辺りで再生を止めてしまいました。こんなこと、今までありませんでした。長い間ドライブに欠かせなかった音楽が、いらないと感じたのです。それは、もはやスピッツでさえ聴きたくないほどに。



早々と追い越し車線に躍り出ては、他の見知らぬBMW達と共にぐいぐいと進んでいきます。ステアリングはずっしりと安定し、高速カーブでは少しだけ回してあげることで、よく使われる表現ですがレールの上を走っているかのように正確に曲がります。そこにヴィッツで感じられたようなフワフワ感による恐さは微塵もありません。アクセルはとても敏感に反応し、速度調整も簡単。116iですが、追い越し車線で力不足なんてことは全くありません。余裕を持って流れに乗り、控えめを維持しているそのアクセルをもっと踏み込めば、すぐにとんでもない速度まで達することも可能です。

初心者マークを付けた車が追い越し車線を走っていますと、すぐに走行車線側に出て抜かそうとする車が現れます。でも、残念ながら追い越し車線の流れが少し遅い理由は私ではありません。その車は私に並ぶ前に、追い越し車線に戻ります。もう初心者マークを見下すのはやめましょう。それとも初心者マークを付けたBMWのドライバーの顔を見ようとでも?別に良いではありませんか。好きな車に乗る、それだけのことです。

満足して高速を流していると、海老名SAが見えてきました。ここで少し休憩としましょう。




<目次>
Part1 - BMWとの別れ
Part2 - 116iとの対面
Part3 - 箱根ターンパイクと伊豆スカイライン
Part4 - 熱海ビーチラインから新宿へ
Part5 - 外装解説
Part6 - 内装解説
Part7 - 初めてBMW1シリーズを運転して