2015年9月1日火曜日

北海道Road Tripの記録 Part 8 (中編)

宗谷岬を出発してからしばらくの間、宗谷岬手前の展望台から見た宗谷丘陵の風車群の周りに、道路が見えていたことが気になっていた。あの辺りに行けるなら、是非行ってみたい。地図で確認すると、この先で左折すると行けるらしい。道道889号線への交差点を見つけたので左折すると、それはもう夢のような世界が広がっていた。視界を遮るものが一切なく、緩やかな中高速カーブが非常に気持ちいい。景色は文句の付けようがないほど素晴らしい。雲一つない青空、どこまでも広がる草原、沢山の風力発電、牧草ロールに、のびのびと生きる牛たちと、その遥か遠くには海。こういう大事な時に雰囲気を台無しにしてくれる電線なんてものはない。壮大な360°のパノラマがここにはある!Top Gearで、息をのむような景色の世界中のワインディング・ロードの数々を見ては羨ましいと思ってきたが、ここはそれらに全く引けを取らない、世界に誇れるワインディング・ロードだと思う。これほどまでに素晴らしい道なのに、交通量はゼロで貸し切り状態。まさにTop Gearの映像の中の世界、ジェレミー・クラークソンになったような気分で、宗谷丘陵の真ん中を駆け抜ける。もちろん、車載動画もしっかり準備。もう燃費などお構いなしだ。心から北海道に来て良かったと思った。


道道889号線は、15分ほど走って南下するとそのまま道道1077号線に入ることになる。この道も快適なワインディングが続くが、景色は道道889号線の方がずっと良い。次にいつここに戻って来れるのか、何年先かと考えた途端、もう一度走ろう!と即座に判断した。Uターンし、再び道道889号線へ。今度は写真を撮りつつ、景色を堪能しながらゆったりと流してみる。本当に、北海道に来るならここを走らなければ損だ。走れば走るほど感動させてくれる北海道、恐るべし。1日に同じ道を複数回走りたいと思ったのは西伊豆スカイライン以来だが、宗谷丘陵に比べれば西伊豆スカイラインは普通の道にしか思えなくなってしまった。路面状態もとても良く、それでいて有料道路ではない。このクオリティで無料なら、距離も短く、景色もない、暴走する改造車だらけの箱根ターンパイクが有料なのがどうして納得できよう。東京に帰ったら、こんな景色はないぞ。どうしたら良いんだ。そう考えながら、宗谷丘陵を走り終えた。幸せな30分間であった。


明日の18時には函館からフェリーに乗ることになっているので、可能な限り進んでおきたいのだが、何処まで行けるだろうか。宗谷岬と宗谷丘陵で費やした時間が想定外だったため、予定より大幅に遅れて稚内駅を目指すことにする。日本で最も北の町、稚内の市街地は、北の端とは思えないほど大きな町で驚いた。稚内駅に着いて中に入ると、東京のどこかのターミナル駅のように立派でさらに驚く。どうやら道の駅も兼ねているらしい。改札口も券売機も1つしかなく、その上切符は買えない。自動券売機は使われていないようだ。


運賃も差が大き過ぎて、乗り過ごしたら大変だな、などと考えていると、なんとあと10分程度で普通列車が来るではないか。この普通列車を逃すと、次は2時間半後の特急まで列車は来ない。これはラッキー、待つしかないと思いそわそわしていると、すぐに1両の普通列車が入線してきた。改札が始まり、小さな行列ができる。乗客は多いのか少ないのかよくわからない。ふと改札中の駅員の背後に、「記念入場券」の文字が見えた。折角だし撮り鉄するかと思い、記念入場券を買ってそのままホームへ出る。キハ54形は、北海道の広い大地を駆け抜けてきた逞しさのようなものを感じる。しかしながら、旭川行きの1両編成、これで立ったまま旭川まで行くのは辛そうだ。発車時刻になりベルが鳴り始めると、老夫婦が慌てた様子でホームに出てきた。乗るのも大変だが、乗り遅れたらもっと大変である。さすがに運転手は何度も乗り遅れそうな客がいないかを確認し、ゆっくりと発車した。発車を見送ったのは私1人だけであった。列車が見えなくなったので改札口へ戻ると、私も乗車すると思われたのか、改札口が通れなくなっていた。こっそりと改札を出ると、構内にはほぼ人がいなくなっている。次の札幌行き特急までは2時間半も待たなくてはならない。色々な意味でJR北海道は凄い。頑張っている。


さて、これで北海道で寄りたい場所は小樽運河とトラピスト修道院を残すのみとなった。あとはただひたすら走るだけだ。小樽運河は夜の様子を見たいと思っているので、今日中に小樽までは進みたいところだが、そうなるとまだ今日の全行程の半分も進んでいないことになる。時刻は予定より1時間以上遅れて14時を過ぎている。ここから300kmは時間と体力との勝負になりそうである。

国道40号線を南へ。稚内市街に別れを告げると、再び何もない自然、時折牧草地帯が続く。今日は2回ほど速度取り締まりのパトカーを見たが、道路脇に遮るものがないので、遠くからでもその存在に気づくことは全く難しくない。さらに対向車線の親切なドライバーがパッシングして教えてくれるので、寧ろ気がつかない方が難しいだろう。それでも餌食になっている車がいたから、何とも言えないが。この辺りの牛たちも広々とした草原にいて幸せそうだ。万が一日本で牛に生まれ変わるようなことがあったら、是非北海道でお願いします。

ナビは国道40号線バイパスを走り続けるように指示しているが、肝心のサロベツ原野が右手に見えるはずなのに全く見えてこない。仕方がないので途中でナビを無視してバイパスを降り、地図で近くの展望台を見つけたので行ってみることにする。


「宮の台展望台」に着いた。地震が起きたら倒れそうな展望台を上ると、遠くの方にサロベツ原野が広がっている。しかし、あまりに規模が大きい上、平坦な地形なのでスケールが掴めない。解説には「山手線が2つ入る」と都民にとってはとんでもないことが書いてあるが、さすがに私の肉眼を通してはその凄さの全容を脳まで届けるのは不可能だった。パノラマ写真など色々撮ってみたものの、結局何が何だかよくわからなくなってしまった。「実感できないくらいに広い」というのが正直なところだ。


とりあえず、地図を見るとサロベツ原野内を通る道があるので、行ってみることに。しかし、まぁ、この景色は何と表現すれば良いのやら、何もない!!とにかく、北海道は甘く見ては行けない場所だ。


(後編へ続く)

<目次>
08/25 東日本Road Trip Part 1 東京〜酒田
08/26 東日本Road Trip Part 2 酒田〜大間
08/27 東日本Road Trip Part 3 大間〜日高
08/28 東日本Road Trip Part 4 日高〜士幌
08/29 東日本Road Trip Part 5 士幌〜釧路
08/30 東日本Road Trip Part 6 釧路〜納沙布・羅臼〜釧路
08/31 東日本Road Trip Part 7 釧路〜名寄
09/01 東日本Road Trip Part 8 名寄〜宗谷〜余市(前編)
09/01 東日本Road Trip Part 8 名寄〜宗谷〜余市(中編)
09/01 東日本Road Trip Part 8 名寄〜宗谷〜余市(後編)
09/02 東日本Road Trip Part 9 余市〜奥州(前編)
09/02 東日本Road Trip Part 9 余市〜奥州(後編)
09/03 東日本Road Trip Part 10 奥州〜東京
東日本Road Tripの記録 番外編