2016年5月6日金曜日

Last Drive of BMW E87 116i (Part 3)

最後の休憩地点である道の駅たばやまに到着した。ここまで来ると東京までもう少しということもあり、少し寂しい気分になる。時刻は18時を周り、辺りは次第に暗くなり始めていた。いよいよ、これが道中で最後の撮影タイムになると思い、降りしきる雨の中で写真を撮りまくる。雨粒がつくと立体感が増すのか、独特の雰囲気を感じて格好良く撮れる様々な角度を模索した。


特に気に入っている写真にコメントを付けておきたいと思う。私は車の写真を撮る時、必ずこのアングルを欠かさない。満足いく1枚が撮れるまで、撮り続けるのだ。このアングルは私が一番気に入っているアングルである。それはこの角度で撮ると車がとても堂々としているように見え、安定した格好良さを得られると感じているからだ。ごく普通の斜め前方からの写真に見えるかもしれないが、このアングルには拘りがある。ポイントは、カメラを腰の辺りまで低くして構えることだ。今回は雨ということもあって、周囲に水たまりも広がり、今までにない独特の雰囲気が生まれた。

何度か登場しているこのCピラーからのアングルは、このBMWにこそ適している。冒頭でも述べたように、サイドを走る一本の太いラインは印象的なのだが、このアングルで撮ると、ラインが湾曲して立体的に見えることに気がつくだろう。実際にこのラインは、Bピラー付近で最も広がり、前端と後端で絞られている。私はこのラインがとても気に入っている。また、Cピラーの太さが強調され、逞しさが感じられるところもポイントだ。

意外に良かったのがこの写真。何となく「イギリスに行って撮ってきた」と言えば通じそうな雰囲気がお気に入り。


30分近く撮り続けていたら、すっかり日が沈んで暗くなってしまったが、まだ撮影タイムは終わらない。暗い車内をぼんやりと照らす照明を見ていると落ち着くではないか。このBMWが私の車だったら、まさしくここは私だけの心安まる空間となっているに違いない。撮影タイムを終えた後も、ずっとここでのんびりしていたい気分になったが、そうすると返却時間が遅くなり、料金がますます上がっていってしまう。おまけに実は車内がかなり汚れているので、寛ぐことはできない。時間に追われ自由が制限されるレンタカーやカーシェアリング生活から早く脱却したいものである。


さすがに疲労が見え始めたが、青梅街道をひたすら新宿方面へ走る。幸い、夜の上り線は空いており、あっという間に荻窪を越え、新宿のガード下をくぐる。新宿まで来るともう終わりも同然だ。22時半頃、無事に出発地点まで帰ってきた。




初めて乗った欧州車であり、心から気に入ったMINI、ナンバー3127との別れは昨年2月のことだった。唐突だったため、最後の日に急遽ドライブに行くことにして、悔いのない別れとなった。ただ、MINIの他の車はまだまだ残っているため、時々乗ることはある。

あれから1年が経過して、次は初めて自ら運転したBMWであるE87系1シリーズとの別れの時が来たらしい。この記録を書き終えようとしている5月23日現在、最後の一台となっていたナンバー4244の116iは、5月25日を最後に予約ができなくなっており、恐らくこのまま引退することになるはずだ。

振り返ってみると、初めて自分で運転したBMWとなった白い116iは、酷使されたあまり至る所の汚れや傷とエンジンの不具合を抱えていたこと、電動パワステのフィーリングに違和感を感じたことなどが印象に残り、悔しいことに手放しで「気に入った」とは言えない結果となってしまった。

しかし、その後もBMWを信じて何度も借り出しては、あれこれと想いを巡らせてきた。するとどういう訳か、3回目に富津岬へのドライブで印象が変わった。一番の懸案だった電動パワステのフィーリングが納得できるレベルに感じて、凄く喜んだことを覚えている。

それからは116iに乗る機会も増えた。借りるためには電車に乗って都心まで行かなければならないことや、MINIに惚れ込んでいたこともあって、ドライブで毎回116iを選ぶという訳にはいかなかったが、定番の伊豆を初め、MINIでしか行ったことのなかった日光や富士山に連れ出していった。富士山には116iでも何回か行っていたが、1人で1日かけてじっくり走る機会がなかったため、最後にしっかり叶えられて安心している。

まだ運転免許をとって3年弱しか経っていないのだから当然とも言えるが、色々な車に乗るだけでなく、北海道から九州まで色々な場所で走るようになった今、走れば走るほど車への考え方は変化している。あれだけ気に入っていたMINIが色々と過剰な演出に感じて、またスイフトはあくまで日本のコンパクトカーの域を出ないと感じて、MINIよりBMW、スイフトよりインプレッサスポーツというのが現在の私である。また、最低限Cセグメントであることは必須とも考えているところだ。

最も気に入っている日本車と言えるインプレッサスポーツはともかく、BMWが私の中でトップに君臨することは、どうしても譲ることができない。祖父が乗っていたE36への憧れ、そしてBMWへの憧れは、並大抵のものではない。BMWが初めて電動パワステを採用したというE87最終型は欠点も気になるけれど、憧れのBMWであることに異論はなく、特にこの赤いBMWにおいては、真剣に心から欲しいと思った。したがって、この116iが「わ」ナンバーであることや、酷使されて各所がくたびれていることが悔しくて堪らない。

レンタカーではなく、乱暴に扱われていないBMWに私は乗りたい。

中古車市場を眺めると、このE87は、最終型であってもかなり価格が下がってきている。しかし、何度も借りた116iの様子からもわかるように、年式が古かったり、酷使されていそうなモデルは価格が安くとも手を出すべきではない。そうなると、いつかE87を私が買うということはなさそうな気がしている。また、長い間「祖父が乗っていた318tiと同じ仕様のモデルを探す」と意気込んでいたが、E36もさすがに旧車の域に入ってきており、こちらも手を出すべきではなさそうだ。それに、E87を気に入って以来、E36ばかり頑に拘る必要はなくなった。今の私は「BMWであること」に拘っていると言えるだろう。

恐らく、今後E87に乗ることはないだろう。「初めて心から好きになったBMW」として、このE87は一生忘れない。最後にどうしても記念に写真を撮っておきたいと思い、買ったばかりの三脚を使う。

駐車場での撮影タイムをもって、赤いBMW E87 116iとの最後のドライブを終えることとなった。


お別れの時。本当に名残惜しい。さすがに。

(追記:タイムズのBMWはまだ乗れるようです!素直に喜びたいと思います)